「相続放棄」から「収益化」への逆転ストーリー

みなさんこんにちは、AGILE MIND代表の田中です。

今回は、「相続放棄」を決めていた土地を有益な土地へと変えた、あるケーススタディをご紹介させていただきます。

「相続」というと、「財産を引き継ぐことができて羨ましい!」と感じる方が多いかもしれませんが、実際の相続の現場はそれほど単純なものではありません。

現金や有価証券ならまだわかりやすいのですが、不動産の場合は特に複雑。土地や建物を引き継げば、同時に管理する責任が生じ、固定資産税などの納付義務も発生します。

今回ご紹介するケーススタディも、相続人全員が、「様々な面倒を背負いこみたくない」と考えた案件でした。

話の舞台は、静岡県浜松市西区。

竹藪の中に埋もれるように古い家が建っている、荒れた土地でした。

地目が宅地450坪と山林約150坪で構成されている、約600坪の地。

ある程度の価値があるとは思っていましたが、使えるように整備するには大変な手間がかかりそうですし、実はこの相続には、もれなく「使用されていない農地」もついてきます。

これらも含めて、全てを管理していくには大きな手間がかかります。それなら、相続放棄してしまった方が楽だと相続人の方たちは考えました。

 

■相続放棄なんてもったいない!なんとかせねば!

私はそれを、「相続放棄などせず、私に譲ってください」と申し入れました。

私が初めてこの場所を見た時の印象は、「難しい土地だけど、かなり魅力的な土地」。

何と言っても、浜名湖が正面!

相続放棄をするなんてもったいない。わが社で、なんとかせねば!

すでに提出していた相続放棄の書類を裁判所から取り返して、アジャイルマインドが相続人から3/4を取得。

相続人にも1/4は持ってもらい、ワンチームとしてこの土地の再生に取り組んでいくことになりました。

この時点で、活用方法は決まっていません。

しかし、正面に浜名湖のある600坪のまとまった土地ですから、絶対に活用する道があると考えました。

迷っていたら、相続放棄で土地は国のものになってしまします。

即断即決、この土地のポテンシャルを信じて、購入し事業化に取り組むことにしました。

2021年夏に古い家屋を解体、竹林伐採工事がスタートしましたが、利用方法を全く決めずに購入したため、解体工事が進むにつれて不安も大きくなっていきました(笑)。

 

■時間をかけて、楽しみながら

整地まで完了したので、山林部分150坪に芝生を張ることに決めました。

知り合いに声をかけて40名の有志に集まってもらい、芝生張りを行ったのが2022年3月。

芝生張りを手伝ってくれた仲間を誘って、農地に生えていた夏みかんを採ってジャムづくりのイベントをやってみたり。

2022年はここで遊びながら、その先の活用方法をじっくり考えようと決意していました。

土地は整地できたものの、売るという選択肢は考えていません。

「浜名湖が見えるキャンプ場」とか、「キャンプ施設のある郊外型の賃貸住宅」とか、「地場の住宅会社の集合住宅展示場を作ろうか」などなど、さまざまなプランを描いていました。

 

■この土地にぴったりの話が舞い込む

そうこうして芝生が生えそろった頃に、ある話が舞い込みます。

敷地全体600坪をまとめて借りたいという企業様が出現したのです。

バカンスをテーマに住宅をつくっている会社で、そのモデルハウス展示場かつ宿泊施設を作りたいという話。

毎日来場者があるわけではない住宅展示場をハイブリッド活用するという柔軟な発想の素晴らしい構想です。

まさにこの土地にぴったりの事業!

事業用定期借地契約を締結することができました。

その後7カ月の工事期間を経て、自然豊かな浜名湖畔にたたずむヴィラ&グランピング施設「villa vacances hamanako」が誕生しました。

広大な敷地内には、タイプの異なるプライベートホテル3棟(Private villa)が建っています。

地目が山林で住宅を建てられない部分には、グランピング用のドームテント4棟(glamping villa)やサウナが設置されています。

まさにこの土地の特性を最大限に活かした活用です。


振り返ってみると今回の案件、アジャイルマインドは相続に悩む地主様より不動産を買い取ることによりその方々の問題解決をしました。

相続とともについてくる面倒を引き受けたことで、この時点で問題は解決。さらに賃料が入ってくるようになったのですから、最高の結果と言えるでしょう。

一方で、この土地の購入を決めた時点では、アジャイルマインドにとっての成果を出すには時間がかかるだろうと思っていましたが、予想以上に早く結果が生まれました。

相続放棄予定だった土地が素晴らしく変貌を遂げた事例この事例。

この地域に、数億円の資本が投下され、人が集まり、笑い声が生まれ、地域の活力になると期待されています。

もし相続放棄 → 国有 となっていたら、今でもおそらく竹藪のままです。